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肺がん治療のスペシャリストから学ぶ、肺がん薬物治療の最前線

インテリムは10月12日(木)、九州がんセンターの瀬戸 貴司先生を招聘し、クリニカル・トライアル社と共催で、「肺がん薬物治療最前線」イベントを開催致しました。

国立がん研究センターが発表した2017年のがん統計予測によると、肺がんの罹患数は、大腸がん、胃がんに次いで第3位ですが、その治療法は今、画期的に進歩しています。
本イベントは、CRAの専門性向上を目的に、肺がん治療の権威をお招きし、最新の肺がん薬物治療についてお話しいただきました。

今回のRintellimでは、講演内容の概要をご紹介いたします。

【セミナー講演者ご紹介】
瀬戸 貴司先生
独立行政法人国立病院機構 九州がんセンター
呼吸器腫瘍科 医師

臨床研究センター臨床腫瘍研究部 治験推進室 室長

瀬戸先生の御活動
・日本肺癌学会(評議員・ガイドライン検討委員会薬物療法、
 集学的治療小委員会委員長・肺がん医療向上委員会委員)
・日本臨床腫瘍学会(協議員・高齢者のがん薬物療法
 ガイドライン作成ワーキンググループ 作成委員)
・日本呼吸器内視鏡学会(評議員)
・日本胸腺研究会(理事)
・日本癌治療学会(がん診療ガイドライン統括・連絡委員会
 協力委員(肺がん担当))
・西日本がん研究機構(理事)
・横浜市立大学客員教授

最新の肺がん薬物治療

肺がんの薬物療法は緩和医療をベースに、殺細胞性抗がん剤、分子標的治療薬、免疫チェックポイント阻害薬の3本柱があり、当日はそのうちの2つの治療についてのお話を頂きました。

免疫チェックポイント阻害薬についてはメカニズム、1stライン、2ndラインそれぞれ標準治療との比較試験についてKeyとなる海外の臨床試験をもとにどのような患者さんに有効なのか、また、どのような状態の患者さんが効きにくいのか詳細に解説を頂きました。

とくに、PD-L1が発現している状態に加えてがん自体の遺伝子変異数多い患者さんは効果があるということで、免疫チェックポイント阻害剤に関係する遺伝子変異を調べるのが現在のトレンドであるということについても詳しく紹介して頂きました。
分子標的治療薬の治療についてはEGFR阻害薬、ALK阻害薬、メカニズム、開発の経緯、と近年開発された新薬の治療成績について詳細にお話を頂き、また、Precision Medicineの海外と国内状況についてもご紹介いただきました。

真剣にノートをとる参加者の皆様

オンコロジーCRAに求めること

現在、治験推進室の室長という役割も担われている瀬戸先生。
治験責任医師として、CRAに求めることを伺いました。

先生があげられたのは、主に以下の点です:

♦ 医師、CRCとの挨拶を含めた良好なコミュニケーション(チームとしての一体感創出)
♦ データをみて、患者さんに何が起こっているのかを思う事ができる想像力を持つこと。
♦ 社内コミュニケーション(業務の引継ぎや経験の浅いCRAのフォロー体制確立)
♦ プロトコルを熟知していること(プロ意識)
♦ 依頼者の伝書鳩ではなくプロ意識をもってしっかりと現場で交渉すること。

特にデータだけをみるのではなく実際には会っていないが、その患者さんを想う事ができるCRAさんとは、また今度も一緒に仕事をしたいと思うとの事でした。

参加者アンケート結果

今回イベントには、60名の製薬会社、CROの治験担当者にご参加いただきました。

■セミナーの全体的な内容について
■次回以降もこのセミナーに参加したいですか?

参加者からのコメント

♦ 最新のエビデンスを含めた肺がん治療の幅広い情報に加え、CRAに対する先生の率直なご意見を伺うことができ
 有意義でした。今後の業務への取り組みに非常に活かせる貴重なお話を伺えました。
♦ 普段このようなお話しを聞く機会があまりないので、とても貴重な時間となりました。CRAに求めることについても
 今後の仕事に活かしていきたいと思います。
♦ 裏話がたくさん聞けて、面白かったです。
♦ 肺がん治療の3本柱の話から始まり、あっという間の1時間でした。とても楽しい講演でした。
♦ 開発に必要なことを改めて思い直すことができ、モチベーションを高めることが出来ました。
 最新の情報も勉強になりました。
♦ 内容が濃く、データだけではなく、そこから何が見えるか、考えられるかまで、伺えた。
♦ 肺がん治療薬の最前線について、何が今の主流なのか、多くの情報をご教示頂きありがとうございました。

今後取り上げて欲しい内容

♦ 再生医療。
♦ 乳がんに関して、同様のセミナー。
♦ 癌患者さんをよく知る機会。
♦ 新しい治療薬が出てくる癌種。CAR-Tなど。
♦ CRAに求めることというテーマで、ドクター、
 CRCからの様々な意見を聞きたいです。
♦ 臓器横断的な薬物治療の最前線。

編集後記

今回瀬戸先生には、最新の肺がん薬物治療について、エビデンスを基に役立つ最新情報をご教授頂いたのはもちろん、治験に関わる担当者としての心構えについても、改めて気づかせて頂きました。

治験は誰のために行うのか、薬を待ち望んでいる患者様の体調や気持ちはどう変化しているのか。この機会に今一度、CRAとしての役割を見つめ直す必要があるかもしれません。

インテリムでは今後も、オンコロジー領域の専門家から直接、最新の治療方法を伺える機会を提供して参ります。

当社執行役員 副本部長と瀬戸先生


2017年11月10日