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グローバル開発部 インタビュー

2012年1月にグローバル開発部が新設されました。今月のR:intellimでは新設されたグローバル開発部のマネージャーに、業界のグローバル化に関して、インテリムのグローバル展開についてインタビューいたしましたので、その様子をお伝えいたします。


2012年1月にグローバル開発部が新設されましたが、グローバル開発部の主な活動について教えてください

「グローバル開発部」という言葉の所為か、社内外の多くの方が国際共同治験のオペレーションを担当する部署と勘違いをされているようです。私たちの名刺の裏側に記載の部署名は「 Global Business Development 」とあり、組織図上も臨床開発本部の中にはありません。つまり、現在グローバル開発部の活動内容の中心は事業開発になります。

現在は台湾、韓国、シンガポールを中心にインテリムでアジアンスタディを受託できる体制構築のための業務に専念していますが、将来的にはグローバル開発部を臨床開発部門と事業開発部門に分ける事になっていくと思います。

日本の治験と世界の治験の具体的な違いについて教えてください

日本と海外の治験の違いはいろいろありますが、私が最初に国際共同治験でモニターをしたときに驚いたことは、日本では治験依頼者(製薬会社)と治験実施医療機関の長との間で契約しますが、海外では治験責任医師と治験依頼者(製薬会社またはCRO)との間で契約することです。また、日本のような算出ポイント表はなく、各施設との交渉で金額は変わり、また検査項目の欠測等の逸脱やCRFの回収がオンタイムでできなかったこと等により、研究費が減額されるということも大きな違いではないかと考えます。

グローバル化の中で日本の治験のアイデンティティーとはどのようなものだと考えますか?

まずは、質の高さが挙げられると考えます。ただ、海外のCROの中には、日本の治験の特異性について、日本はその特異性を捨てるべきという会社もあります。また世間では日本の医療についていろいろと言う方々もいますが、日本の医療の技術や質は高いと感じています。たとえば国際共同治験を実施すると、標準療法や医療環境の違い、体格の差などの医療現場の質の違いによるSAEの発生率の低いこと、手術を伴う治療での入院期間の長さによる医療経済性の差が出にくいこと等々は、日本で国際共同治験を実施していく上での難しさだと思います。そのため、すべての領域で国際共同治験をという訳にはいかない現状があると考えています。

上記でお答えいただいた現状を踏まえて、グローバル開発部はどのような存在となっていくのですか?

今までも日本の大手CROがアジアに進出しています。その意味ではインテリムは後発ということになります。後発である以上他社にない特徴を出し、日本のお客様に満足していただける体制の整備、さらには追う立場としてターゲットに早く追いつき、追い越すために日々何をすべきかを考え、フレキシブルに対応していかなければいけないと考えています。

また、私たちの言うお客様とは製薬会社や医療機器会社だけでなく、社内の皆さんもグローバル開発部のお客様だと考えています。社内外の皆さんと一緒にアジアを中心とした治験の実施体制を確立したいと考えています。そして現在ドラッグ・ラグにより治療をあきらめざるを得ない患者様を一人でも減らし、また、医療の海外流出を止めることで、社会に貢献できる部署としていきたいです。

インテリムがグローバル化においてターゲットとしている地域は?

アジアパシフィック地域においては、台湾、韓国、シンガポールをターゲットに考えています。

なぜ、上記の地域をターゲットとしたのですか?

理由のひとつとして、インテリムのお客様である製薬会社様は、アジアンスタディを実施する上で考えられる国として韓国、シンガポール、台湾を挙げられていました。さらに、中国本土やマレーシアという国を挙げるお客様もいらっしゃいました。マレーシアについてはシンガポールから、中国については香港からのコントロールが可能と考えています。中国への進出については、今後の検討課題になっています。 また当社顧問の西條先生のネットワークを最大限に生かすというという意味でもこれらの3カ国ははずせません。

グローバル進出に向けた具体的施策について、可能な範囲で教えてください。

まず現地のローカルCROとの業務提携を検討しています。理由としては、現地法人を設立しても、文化や雇用環境、臨床試験を取り巻く法制度の違いから、欧米系のCROが日本に法人を立ち上げても順調とはいえない状況同様、難しいと考えています。お客様にとって大事な治験を受託しても、リソースがなくて・・・というようなことは避けたいです。
インテリムが考える業務提携というのは、現地CROに治験をまる投げすることは考えておりません。まずは現地に駐在事務所を設立し、そこで日本での臨床試験の業務経験のあるバイリンガル(日・英または日・現地語)が勤務し、現地CROをサポートすると共に日本のお客様からのお問い合わせへの対応や、進捗の報告がリアルタイムでかつ日本語でできるようにする予定です。
このモデルをターゲットとしているすべての国で適用し、アライアンスという形式を取っていく予定です。その結果、我々も現地での治験のノウハウや法律を勉強していきたいですし、アジア圏でwin-winの関係を築くことが目標です。

インテリムのグローバル化における今後のビジョンを教えてください

まずは、お客様が安心して国際共同治験を運営できるような組織・体制作りをし、アジア各国に現地法人を設立し、インテリムを日本発のグローバルCROとしたいです。

2012年3月10日